「確信犯」の本来の意味とは
確信犯(読み方は「かくしんはん」)とは、 自分の政治的・宗教的な信念や道徳に基づいて、正しいと信じて(確信して)なされる犯罪やその行為を行う人のことを意味する言葉です。
やっている本人は悪いことと思ってやってはいないのです。「法に照らし合わせると犯罪ではあるが、本人は正義であると本気で信じてやっていること」が確信犯です。ちょっとした悪いことやイタズラをさす言葉でもありません。この言葉は、「法律に反する犯罪」を指すものです。例えば、テロリズムなどがこの概念に当てはまります。
「確信犯」の本当の意味
自分の信じたこと信念や道徳に基づいて行われる犯罪・行為。犯罪を行う人のこと。
「確信犯」は7割が意味を間違って使っている慣用句
文化庁『国語に関する世論調査』(平成14年、27年)では、約7割もの人が「確信犯」の意味を間違って使っているという結果が出ています。
確信犯の正しい意味はどれか
例文:そんなことをするなんて確信犯だ。
調査年度 | 平成27年度 | 平成14年度 |
---|---|---|
(ア)政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人 | 17.0% | 16.4% |
(イ)悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人 | 69.4% | 57.6% |
(ア)と(イ)の両方 | 5.1% | 3.9% |
(ア)や(イ)とは全く別の意味 | 2.7% | 3.3% |
分からない | 5.7% | 18.8% |
確信犯の本来の意味は(ア)政治的・宗教的等の信念に基づいて正しいと信じてなされる行為・犯罪又はその行為を行う人にも関わらず、(イ)悪いことであると分かっていながらなされる行為・犯罪又はその行為を行う人という間違った意味が正しいと答えている人が69.4%いるという結果となっています。
確信犯は「悪いことだと知っていながらやった」という意味ではない
2人に1人以上が、「確信犯」とは「悪いことだと分かっていながら行うあざとい行為」という意味が正しいと感じていましたが、実際には「信念や道徳に基づいて行われる犯罪・行為。犯罪を行う人のこと」が正しい意味です。
確信犯の間違った使い方の例文
- あれは、バレないと思ってやった確信犯だ。
- 彼女がいつも信号無視をしているのはあきらかに確信犯だよ。
「確信犯」を、「悪いことだと知っていながらやった」「あざとい」という意味で使うケースは、よくある表現ではありますが誤用だと言われています。
「確信犯」の誤用
「悪いことだと知っていながらやった」という意味で確信犯を使うのは間違った使い方
誤用が広まった理由
各メディアや媒体で、間違った意味での「確信犯」を使用することが多いため、誤用が一般に広まったと言われています。確信は「固く信じて疑わないこと。また、固い信念」のことをあらわします。そこにルールを破る意味での「犯」がつくことで、固く信じてルールを犯す、つまり知っていながら悪いことをするという意味にとらえられています。
確信犯を類語で言い換えると
「確信犯」の類語は「故意犯」です。「故意犯」は、自分の行為の犯罪性を自覚した上で行う犯罪のことを意味します。しかし「故意」という言葉よりも、「確信」のほうが馴染み深くしっくりくることから、誤用ではありますが世の中一般には「確信犯」のほうが広まっています。
「確信犯」を正しく言い換えると「故意犯」が正解
※ ただし誤用ではあるが、確信犯のほうが広まっている
慣用句は正しく使う
慣用句の中でも「確信犯」は約7割が間違える語ではありますが、誤用が一般化している語でもあります。正しく理解するには、語源を知って意味を理解することも有効です。間違えやすい慣用句を知って、誤解のない文章を書くために役立てましょう。