3人に1人が「おられる」に違和感
尊敬の意味で使われる「おられる」は、文化庁『国語に関する世論調査』(平成9年、10年、16年)で、3割もの人が違和感を感じているという結果が出ています。
「総務の武田さんは、どちらにおられますか」は正しいか?
調査年度 | 正しい | 正しくない |
---|---|---|
平成9年 | 64.4% | 30.0% |
平成16年 | 58.3% | 30.3% |
「先生は心配しておられたよ」は正しいか?
調査年度 | 正しい | 正しくない |
---|---|---|
平成10年 | 43.1% | 51.8 |
NHKの放送でも「おられる」は使わないようにしているという公表データがあります。(NHK放送現場の疑問・視聴者の疑問)
「おられる」の意味とは
「おられる」は尊敬を意味する敬語で、間違った形ではありません。「おられる」は、動詞「いる」のあらたまった形「おる(居る)」に尊敬を意味する助動詞「れる」がついた形です。
中村先生がおられる。(正しい使い方)
「いらっしゃる」の意味とは
「いらっしゃる」も尊敬を意味する敬語で、間違った形ではありません。いらっしゃるは、「行く」「来る」などの尊敬語で、1語で尊敬の意味をあらわします。
中村先生がいらっしゃる。(正しい使い方)
「おられる・いらっしゃる」どちらが正しい使い方か
「おられる」も「いらっしゃる」もどちらも間違っておらず、正しい使い方です。ただし、一般的には「いらっしゃる」を使ったほうがベターです。調査結果から分かるように、「おられる」という表現に違和感を持っている人が多いためです。また「おられる」は地方によって解釈が異なるためだとも言われています。
「おられる」は地域によって解釈が異なる語
- 「おる」は謙譲語で「れる」は尊敬語なので違和感がある(関東地方)
- 「おる」は敬語ではなく一般の動詞なので、尊敬の意味の「れる」がついても違和感がない(関西地方)
- 「おられる」は尊敬語である(辞書)
- 「おられる」は丁重語である(文化庁発表)
どちらも間違っていない
「おられる」も「いらっしゃる」も間違いではなく正しい使い方です。一方で、「おられる」に違和感を感じる人も多いため、使わない方が無難な表現ではあります。敬語に気を配ることで、よりスムーズなコミュニケーションを目指せるはずです。