この記事の目次
Webライターや副業ライターの確定申告のやり方や、経費について、いくらから確定申告を行う必要があるのかをまとめます。必要書類や期間、経費やお金が戻ってくるのかを分かりやすく紐解きます。ライターは青色申告と白色申告のどちらがいいの?など気になる点も解説します。
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ライターとして働く人が年に1度行う確定申告。毎年2月頃に、所得税の額を計算して税務署に申告する必要があります。「確定申告」「源泉徴収」など聞きなれない言葉が多く、手間がかかるイメージがありますが、実際のところ行う必要があるのでしょうか。税務署の方に聞いた確定申告の基礎知識を、分かりやすくまとめました。
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確定申告とは、1年に1度、所得税の額を計算して税務署に申告する手続きのことです。
所得税とは、稼いだ金額によって変わってくる「税金」です。
会社員の時には、会社が確定申告に代わって「年末調整」の手続きを行なってくれていましたが、フリーランスになると自分自身で経費の計算や税務署への申告を行う必要が出てきます。確定申告を行うことで、1年のうちで払いすぎていた税金(所得税)が調整されます。確定申告の対象は「事業の所得がある人」ですので、ライターも確定申告の対象です。税金の過不足を清算するため、税金を払いすぎている場合には数万円が戻ってきます。
確定申告の期間は、毎年2月〜3月頃です。新型コロナウイルスの影響で確定申告の締め切りに変更がある可能性があります。税務署に確認のうえ期間中に申告を行ってください。
税務署の方に確認したところ、ライターは額に関わらず確定申告を行ったほうが得なケースが多いそうです。一般的には、専業の場合は38万円以上の所得の場合、副業の場合は20万円以上の所得の場合に確定申告を行うとされていますが、ライターは事情が少し異なります。ライターが「原稿料」を請求する時、原稿料から10.21%が源泉徴収されているためです。
源泉徴収とは、報酬を支払っているクライアント企業が、ライターに代わって所得税等の税金を差し引いて納税してくれることです。クライアント企業から振り込まれた原稿料から1割ほど自動的に引かれていたという経験がある方は、それが源泉徴収です。企業がライターに代わって10.21%の所得税を納税してくれているのです。
源泉徴収の税率
源泉徴収が行われている理由は、ライターが行なっている業務である「原稿の執筆」が、国の定める源泉徴収の対象になっているためです。
法律では企業が「原稿料」として支払いを行う場合には、源泉徴収を行わなくてはならないルールです。しかし、クライアント企業の税務処理によっては、知らなかったり面倒を避けたりするために「原稿料」以外の名目で発注することで源泉徴収を行わずにライターにそのまま支払っているケースも存在するようです。源泉徴収されているかどうかは、ライター自身が契約書や支払い調書を確認したり、企業に確認したりする必要があります。
ライターの確定申告を行うための準備としては、開業届を出し、青色申告と白色申告のどちらにするかを選ぶ必要があります。
事業を始める際に、税務署に「開業届」を出しておく必要があります。「開業届」とは、いつからどのような事業を行なっているかを税務署に申請する届出です。税務署に問い合わせたところ、「開業届を出しておかないと、確定申告で経費が申請できないため開業届を出しておいてほしい」との回答がありました。経費を申請したい場合には、規模に関わらず開業届は先に出しておきましょう。「原則としては開業日以降のものが経費として申請できる」そうです。
税務署の担当者によっても異なるそうなので、最終的には所轄の税務署にご確認ください。
青色申告とは、帳簿をつけたりする手間がかかる代わりに節税効果が大きい申告方法です。青色申告を行うと、65万円分の控除を得ることができるメリットがあります。控除とは、自分の収入から経費以外に引いてもよい額を意味します。引ける額が大きいほど所得税が少なくなるため、まだ検討中の方は国税庁の青色申告についてのページを確認することをおすすめします。
青色申告とは
白色申告は、帳簿をつける手間はかかりませんが節税効果が小さくなる方法です。ただ白色申告も手間はかかるため、税務署の方からは「メリットが大きい青色申告をぶ方がよい」と言われました。
次に、ライターが確定申告を行う際の基本的なやり方や流れについて解説します。ステップ1と2をきちんと行なっておけば、確定申告の書類を書くこと自体はそれほど難しいことではありませんでした。
まずは、1年間に稼いだ売り上げ金額を計算します。売り上げの総額を計算するためには、まず売り上げや報酬の内容がわかる明細を用意しましょう。
明細としては、クライアント企業との契約時の書面やクライアント企業からもらった支払い調書が便利です。確定申告時には、明細の提出は不要ですが、クライアント企業の情報や、報酬の金額、源泉徴収が引かれているかどうかなどの情報は必要となります。
支払い調書は次のようなものです。
企業にはライターに支払い調書を渡す義務は一切ありません。そのため、支払い調書をくれる企業とくれない企業があるのが実情です。もしもらえない場合のためにも、支払い調書に書いてあるような内容(金額、支払い者の情報、源泉徴収額)がわかるような契約書などはきちんと保管しておきます。
確定申告の売り上げは、1月1日から12月31日までのものですが、年をまたぐ契約の場合は、売り上げが確定した日(検収が完了したタイミング)が12月31日までの場合には、当年の売り上げに含めます。検収完了が翌年になってしまった場合には、翌年分の売り上げとして処理します。
1年で使った経費の合計金額を計算します。必要なのは経費の合計額のため、確定申告の際に領収書の原本を提出しなければならないわけではありません。ただし、税務調査などで求められた際には根拠となるものを提出できるようにしておかなければならないため、領収書の原本は5年間は保管しておきます。
ライターの経費の基礎知識
ただし、領収書を取っておけば全てが経費として認められるわけではありません。「仕事に使ったもの」としてライターが経費にしやすいものとしにくいものがあります。
ライターが経費にしやすいもの
逆に、業務に関係がないものについては経費にしにくくなります。
ライターが経費にしにくいもの
ただ、「講師として登壇する」「記事を書くために購入が必要だったもの」など、実際の仕事に使ったものについては経費として認められるようです。不安があれば事前に税務署に確認しておくことをおすすめします。
さらに、在宅でライターをしている場合は、以下についても「事業用4:個人用6」のような形で按分することで一部を経費にすることができる可能性があります。
在宅ライターが経費にしやすいもの
確定申告の申告書の作成方法としては、手書きで書く方法とネットで作成する方法があります。
ネットで作成する方法は、自宅でできて税額も自動で計算されます。ネットで作成する場合には国税庁の『確定申告書等作成コーナー』で作成できます。ネットで申告書を作成した後は、郵送かe-Taxという電子申告で提出することができるので税務署に行く必要はありません。
確定申告の提出書類
青色申告決算書には、損益計算書と貸借対照表が必要となります。損益計算書は経費や売り上げを記載する書類で、貸借対照表は資産や負債を記載する書類です。確定申告書Bの書き方としては次のようになります。確定申告書Bは、所得税の額を計算して申告する書類のことです。
参照:国税庁『確定申告書の記載例』
確定申告書Bの手引き、青色決算申告書の書き方を参考にして記載しましょう。
最後に、確定申告を提出します。提出方法には、e-Taxで電子申告する方法と郵送で送る方法があります。
参照:国税庁HP
e-Tax(読み方はイータックス。電子申告のこと)で行う場合には、利用前の申請や、ICカードリーダーを準備しておく必要があります。
郵送で送る場合には、所轄の税務署に送ります。どの税務署に提出すればよいかが分からない場合には、国税庁HPにある税務署の一覧から検索することができます。
確定申告の提出方法・提出先
副業ライターの場合にも、専属フリーランスのライターと同じように、開業届け・確定申告が必要です。
一般的には、副業での所得が20万円以下の場合には確定申告は行わなくてもよい、いわゆる「20万円ルール」がありますが、ライターの業務は源泉徴収の対象のため、クライアント企業が源泉徴収している場合には、確定申告によって源泉徴収分が戻ってくることがあります。
副業ライターの場合は、まずは自分が行なった案件が源泉徴収されているかどうかを確認してみましょう。クライアントとの契約書や注文書などで確認することができます。また、所得が20万を超える場合には、専属のライターと同じように確定申告は必要となります。
副業ライターの確定申告のポイント
不明点がある場合には、税務署に問い合わせを行うことをおすすめします。税務署の担当の方は非常に親切な方が多いです。確定申告の締め切り直前問い合わせも時間がかかってしまうので問い合わせは早めに行なっておきます。
電話相談窓口
電話相談窓口は、管轄または最寄りの税務署に電話し、相談内容に応じて「1、2、3」の番号を押すことで担当部署に繋いでもらえます。
税務署の担当の方に、ライターの確定申告で気になるポイントを質問してきました。
税務署の担当者によっても回答が異なる場合もあるようなので、最終的には所轄や近所の税務署にお問い合わせください。
税務署の方:
青色申告は帳簿を正しくつける必要があるため、慣れないうちは手間がかかります。その代わりに節税効果があるというメリットがあります。ポイントは帳簿が作れるかどうかです。帳簿がつけられる場合には青色申告を選ぶ方が多いです。
税務署の方:
38万円や103万円という話がありますが、額は関係なく確定申告をした方がよいです。特に、源泉徴収されているライターの方は、引かれている税金分が還付されるので確定申告を行ったほうがよいと思います。
税務署の方:
源泉徴収されているのか、されていないのかという情報は必要です。そもそも、企業が「原稿料」としてライターに報酬を支払う場合には、源泉徴収(所得税10.21%をライターに代わって国に収めること)を行う義務があります。しかし、企業によっては本来行うべき源泉徴収を行っていない場合もあります。源泉徴収が正しく行われている場合には、ライターの方に源泉徴収分の所得税の一部が戻ってくる可能性があります。
確定申告は面倒ではありますが、できるだけ前もって準備をしておくことで、作業を分散させることができます。まずは、経費がわかるもの(領収書)、売り上げがわかるもの(支払い調書や契約書)を保管しておくことからはじめます。
締め切り間近は税務署が混雑する場合があるため、早めに準備しておき、不明点は早めに税務署に問い合わせしておきましょう。
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