文体は統一して書く
現代の一般的な書籍や紙面、ウェブなどの文章は「口語体」を使って書かれています。文体には、口語体と文語体があります。文語体とは明治・昭和頃まで文を書く際に使われていた、古文のような文体です。例えば「仲立人トハ他人間ノ商行為ノ媒介ヲ…」のような文です。口語体は現代において一般的に用いられる文体のことです。文章を書く際には、文語体は使わずに、口語体で書きます。語尾の「ですます調」と「である調」は統一します。
口語体で文章を書く際には、「書き言葉」と「話し言葉」を区別して書きます。書き言葉とは文を書く際に用いる言葉です。一方話し言葉は日常的な会話で使う言葉です。公的な文章やビジネス文章では、話し言葉ではなく、書き言葉で書きます。
文体のポイント
- 「文語体」は「口語体」へ修正する
- 「話し言葉」は「書き言葉」へ修正する
- 文末表現を統一する
- 文末表現の繰り返しを避ける
1. 「文語体」は「口語体」へ修正する
文を書く際には、「文語体」の表現は使わずに「口語体」に統一します。文全体を文語体で書く機会は滅多にありませんが、口語体だと認識していても、意図せず、文語調の表現を使用してしまっている場合もあります。政府からの発行された通達では、日本国内の公用文は「文語脈の表現はなるべくやめて平明なもの」で記載するようにという指針があります[*出典]。誤って文語体を使うことがないように配慮します。
文語体の例と対応する口語体一覧
文語体 | 口語体 |
---|---|
のみならず | だけでなく |
においては | では |
すべく | するため |
できぬ | できない |
学校にては | 学校では |
2. 「話し言葉」は「書き言葉」へ修正する
公的な文章やビジネス文章を書く際には、「話し言葉」は使わずに「書き言葉」で書きます。「書き言葉」と「話し言葉」の基準は常識的に理解されているものもありますが、実際には明確な基準がなく、個別の判断が必要です。文献としても話し言葉と書き言葉を明確に定義しているものは存在しておらず、話し言葉と書き言葉の境界は曖昧であると指摘されています[*参考]。
話し言葉と書き言葉の例一覧
話し言葉 | 書き言葉 |
---|---|
いっぱい | 多い |
ちょっと | 少し |
とても | 非常に |
そういう | そのような |
もっと | さらに |
だんだん | 次第に |
やっと | ようやく |
いつも | 常に |
ちゃんと | きちんと |
ですから | そのため |
言っちゃいけない | 言ってはいけない |
やっぱり | やはり |
一番 | 最も |
絶対に | 必ず |
たぶん | おそらく |
けど | が |
3. 文末表現を統一する
文末表現は、「ですます調」か「だである調」かに統一して使います。「ですます調(敬体)」は、相手に語りかけるような文体に適切です。一方、「だである調(常態)」は、論文などの文体でよく使われます。同じ文章の中で、「ですます調」と「だである調」を混ぜて使うことはありません。読者に与えたい印象や目的に応じてどちらか一方に統一して使います。
4. 文末表現の繰り返しを避ける
文末表現の繰り返しは極力避けます。例えば、「です」「だった」「のです」「だと思います」を文章の中で何度も繰り返しません。本多勝一は繰り返しを、「鼻につく」「あんまり繰り返されると嫌味が出てくる」と指摘したうえで、「それを目的とする特別な場合以外は繰り返しは避ける」としています。[*出典出典]
[出典]
内閣閣甲第16号各省庁次官宛内閣官房長官依命通知『公用文作成の要領』1952
本多勝一『<新版>日本語の作文技術』2015
[参考]
文章を書く際は、話し言葉はやめ、書き言葉で書くとよく言われていますが、では実際に何が書き言葉で、何が話し言葉であるかを調べると、明確な定義を参照することはできません。このことは、森山卓郎『國文學 解釈と教材の研究』にて話し言葉と書き言葉の境界は曖昧であると指摘されています。