修飾する言葉をできるだけ近くに置く
形容詞・形容動詞は、修飾の関係を明らかにして使います。そのためには、修飾する言葉をできるだけ近くに置くことが必要です。なぜなら形容詞は誤った位置に置くと、何を修飾しているのかが読者に間違って認識されるためです。
素早い花の先に止まったテントウ虫
花の先に止まった素早いテントウ虫
「素早い」を「テントウ虫」の近くへ移動することで修飾関係をわかりやすくします。
名詞を修飾できない「特別な形容詞」に注意
形容詞・形容動詞の中には、名詞を修飾できない形容詞があります。多くの形容詞は「美しい花」「優しい人」のように名詞を修飾することができますが、中には名詞を修飾できない(連体用法として使えない)ものがあります。たとえば「多い」「少ない」といった形容詞です[*参考]。
近い駅に行く
近くの駅に行く / デパートに近い駅に行く
名詞を直接修飾できない形容詞を解決する方法として、「近い」と「駅」の間に「の」という格助詞を入れる方法と、「近い」の前に「名詞+格助詞」を入れることで使えるようにする方法があります。
独自の形容動詞を作らない
形容動詞は、独自の使い方をしないようにします。そもそも形容動詞は名詞に「な」をつけることで、「フラットな画面」や「無関係な人」など、簡単につくることができる品詞です。しかし簡単につくることができるため、一般に馴染みの無い言葉を書き手がつくってしまうことがあります。たとえば、以下のような例です。
一目瞭然な場合
一目瞭然である場合
ASAPで向かう
できるかぎり急いで向かう
[出典]
メアリ・K・マカスキル『NASAに学ぶ英語論文・レポートの書き方 NASA SP-7084 テクニカルライティング』片岡英樹 (訳)、共立出版、2012
[参考]
「多い」「少ない」という形容詞が連体用法で使えないことに関しては、寺村秀夫氏、西尾寅弥氏、矢田敏弘氏など、多くの研究者によって取り扱われています。詳しくは、山田 敏弘 『国語教師が知っておきたい日本語文法』くろしお出版(2004)などをご参照ください。