表記ゆれ(表記揺れ)とは

表記ゆれの意味・よくある例

表記ゆれとは、同じ意味を持つ言葉が文中で統一されず、異なる表記が混在することを意味します。使い方としては、「表記ゆれがある」や「表記がゆれている」というように表現します。表記ゆれの例としては、以下のようなものがあります。

  • 「ユーザー」と「ユーザ」
  • 「3回」と「三回」
  • 「website」と「ウェブサイト」

なぜ問題なのか?

表記ゆれは文章の品質に影響を与えます。例えば、以下のような品質低下を招きます。

  • 読み手の誤読を招く(前は「ウイルス」と書いてあったのに次は「ビールス」と書かれている。これは異なるものを指しているのだろうか)
  • 読み手のイメージ低下を招く(企業のブランドイメージで「質の高さ」を打ち出しているのに、コンテンツは表記ゆれだらけ)
  • SEOの観点で配慮が必要な場合がある

このように表記ゆれがあることで、信頼性や専門性を損なうことにつながります。そのため、ビジネスにおいては、表記のばらつきは放置せず、統一したほうがよいと言えます。

表記ゆれの代表的な種類と例の一覧【全10種】

表記ゆれには英語と日本語、カタカナ、数字、全角・半角など、10種類のパターンがあります。以下でそれぞれの特徴や例について紹介します。

1. 「英語とカタカナ」の表記ゆれ

1つ目は、英語と日本語の表記ゆれです。例えば「wordrabbit」と「ワードラビット」、「Excel」と「エクセル」のように、同じ用語を書くときに英語と日本語の表記が混在することがあります。*例えば以下のような例が見られます。

英語表記 日本語表記
Excel エクセル
PowerPoint パワーポイント
Chrome クローム
Oracle オラクル
Microsoft マイクロソフト

2. 「カタカナ同士」の表記ゆれ

2つ目は、カタカナ同士の表記ゆれです。例えば「ユーザー」と「ユーザ」などです。

例えば、国名などのように、公式な表記や、より主流な表記がある場合は主流な表記を採用します。特に定まった表記がない「スピーディ」と「スピーディー」のような語はどちらか一方に統一します。

表記にゆれがあるカタカナの例としては、以下のようなものがあります。

カタカナ表記 カタカナ表記
スパゲティ スパゲッティ
ユーザー ユーザ
アメーバ アミーバ
スピーディ スピーディー

※参考 内閣告示「外来語の表記(1991年6月)」

3. 「漢字とひらがな」の表記ゆれ

3つ目は、漢字とひらがなの表記ゆれです。例えば「広がる」「拡がる」「ひろがる」のように、漢字とひらがなが混在するケースです。

漢字とひらがなについては、「常用漢字表」も参考にしながら、常用漢字表にある漢字は漢字で書き、それ以外はひらがなで書くように統一します。

このようなルールは、新聞社や出版社で広く採用されているもので、より多くの人にとってなじみのある書き方だと言えます。詳しくは「漢字とひらがなの使い分けルールと最適なバランス」でご確認いただけます。

漢字表記 ひらがな表記
広がる ひろがる
広める ひろめる

4. 「洋数字と漢数字」の表記ゆれ

4つ目は、洋数字と漢数字の表記ゆれです。例えば「4人」と「四人」のようなゆれです。

洋数字と漢数字については、単純にすべてを統一するのではなく、「一石二鳥」「一人一人」などの慣用表現などは例外として漢数字で書きます。

例えば、新聞等の出版物で洋数字で書く数字としては、以下のようなものがあります。

洋数字で書くもの
年月日 2023年11月11日
時間 15時30分
年齢 40歳
人数 15人
個数 50個
高さなど 50メートル
割合 45%

一方で漢数字で書く慣用表現としては、以下のようなものがあります。

漢数字で書く慣用表現
熟語 三権分立、一人二役、一人一人
数字としての意味が薄れた用法 一日も早く会いたい
歴史的な用語 二・二六事件、第五福竜丸
文化的な用語 七五三
運動などの用語 二塁、三振、三段跳び

5. 「全角と半角」の表記ゆれ

5つ目が、数字・記号・英字の全角・半角の表記ゆれです。例えば「4(全角)回」と「4(半角)回」」のようなケースです。

例えば「全体的に全角を使う」と定めるケースもありますし、「数字が1桁の場合は全角、2桁以上の場合は半角」といったように定めるケースや、「この記号や全角で、この記号は半角」のように定めるケースもあります。いずれを採用するにしても、全体的に一貫したルールで統一することが望ましいといえます。

種類 全角表記 半角表記
数字 4 4
記号 !
英字 Samplejp samplejp

6. 「送り仮名」の表記ゆれ

6つ目が、送り仮名の表記ゆれです。同じ語でも、例えば「申し込む」と「申込む」のように複数のタイプの送り仮名が存在します。

内閣府で定められている「送り仮名の付け方」を参考に、どの送り仮名を採用するのかを選択します。さらに詳しい解説は「正しい送り仮名の原則」でご確認いただけます。

送り仮名(本則) 送り仮名(許容)
申し込む 申込む
打ち合わせ 打合せ
預かり金 預り金
売り上げ 売上げ・売上

7. 「漢字・カタカナ・ひらがな」の表記ゆれ

7つ目が、漢字・カタカナ・ひらがなの表記ゆれです。例えば「ほととぎす」は「時鳥」とも「ホトトギス」とも書くことができます。

漢字 カタカナ ひらがな
時鳥 ホトトギス ほととぎす
林檎 リンゴ りんご
海豚 イルカ いるか
薔薇 バラ ばら

8. 「記号」の表記ゆれ

8つ目が、記号の表記ゆれです。例えば「—」は複数の記号として「-」「—」などで表現される場合があります。

記号 よくある表記
ダッシュ記号 「-」「ー」「—」

9. 「単位」の表記ゆれ

9つ目が、単位の表記ゆれです。例えば距離を表す「キロメートル」は「㎞」や「㌖」などで表現される場合があります。

単位 よくある表記
キロメートル 「㎞」「㌖」
キログラム 「kg」「㎏」
カロリー 「cal」「㌍」「㎈」

10. 「別の表記があるもの」の表記ゆれ

10つ目が、同じ意味でも別の全く異なる表記を持つ語の表記ゆれです。例えば「CO2」と「二酸化炭素」のように、同じ語を別の表記で書く場合があります。

1つ目の書き方 2つ目の書き方
CO2 二酸化炭素
Eメール 電子メール
AI 人工知能

表記ゆれのチェック方法

人の目で表記ゆれのチェックを行う場合、以下のような方法によって確認することができます。

Wordでチェックする方法

Wordの「文章校正」

観点 ポイント
英語と日本語 製品名、社名などに表記ゆれがないか確認する
カタカナ同士 伸ばし棒の有無、詰まる音(ッ)の有無などを確認する
漢字とひらがな 漢字でもひらがなでも書ける語は閉じる・開くを確認する
洋数字と漢数字 洋数字で書く語は洋数字で、漢数字で書く語は漢数字で書く
全角と半角 数字・記号・英字の全角・半角を確認する
送り仮名 送り仮名の付け方のルールにのっとって書く

表記ゆれを発見して文章の品質を上げる

表記ゆれとは何か、どういった種類があるのかを取り上げました。文章の中に表記ゆれが存在することによって、特に意図を正確に伝える必要があるビジネス文書などでは読者が内容を正しく理解するのが難しくなることがあります。組織内で一貫した表記を保ち、クリアで理解しやすいコミュニケーションを目指すには、表記ゆれを発見して修正することが大切です

しかし表記ゆれには多くのパターンがあり、人の目で確認するには限界があります。そこで活用できるのが、AI文章校正ツールです。高度な技術を備えた文章校正ツールは、手間のかかる校正作業を効率化し、文章の品質を向上させて表記ゆれをチェックするプロセスを大幅に効率化することができます