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国語の形容動詞とは何か、活用の形や種類、意味、言い切りの形について解説します。形容動詞の例や一覧についてもご紹介します。文法で基本的な、形容動詞と形容詞の違いや見分け方についても分かりやすくお伝えします。
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「花がきれいだ」「とても静かだ」のように、物事の性質や状態を説明します。言い切りの形が「だ」で終わる語です。
形容動詞は自立語(それだけで意味が通じる語)で活用(語尾の形が変わる)があることが特徴です。例えば「昔はここに立派な家が建っていた」「携帯電話はとても便利だ」のように、家や携帯電話の状態を説明するのが形容動詞です。形容動詞は、名詞の前に置かれると「〜な」という形になるという特徴もあります。
形容動詞の例の一覧としては、以下のようなものがあります。
きれいだ、上品だ、しあわせだ、しずかだ、なめらかだ、のどかだ、便利だ、満足だ、にぎやかだ、積極的だ、専門的だ
形容動詞についての理解を深めるために、次の文章から、形容動詞を抜き出してみましょう。
娘は小学校1年生になったばかりだ。通学路はいくつかあるが、急に車が飛び出してくることもあるのでガードレールがある大通りが一番安全だ。小学校に通い初めてから一段と成長した娘。素直な心で安全にすくすく育ってほしいものだ。
この文の中の形容動詞は、
「急に」「安全だ」「素直だ」「安全に」の4つです。
形容動詞の簡単な見つけ方は、ものごとの様子をあらわしていて活用がありそうな語を見つけたら、言い切りの形に変えてみるということです。
言い切りの形が「〜だ」になれば形容動詞であることがすぐに分かります。
実は学校教育とは別に存在する外国の方向けの日本語文法では、形容動詞というものは存在しません。
形容詞の一種として教えられます。そのことから形容詞も形容動詞も同じような性質を持ちます。
(形容詞)厳しいトレーニング
(形容動詞)ハードなトレーニング
また形容動詞という名前の由来も、動詞のラ行変格活用に似た「なり」「たり」の活用があったことに由来しています。活用が動詞に似ているという理由から形容動詞と名前がついています。
形容詞と形容動詞を完全に切り離して考える必要はないのです。
さて、学校の試験などで形容動詞の理解が必要な方は、形容動詞の活用形についても理解しておきましょう。
形容動詞は、活用がある語です。
活用(かつよう)とは、語尾の形が変わることです。
例えば、「本(名詞)」や「すっかり(副詞)」などは語尾が変化することはありませんが、形容動詞は語尾が色々な形に変わるのです。
たとえば「きれいだ」という形容動詞の場合には、後ろにつく語によってこのように語尾の形が変化します。
未然形:きれいだろう
連用形:きれいだった、きれいでない、きれいになる
終止形:きれいだ
連体形:きれいなとき
仮定形:きれいならば
命令形:-なし-
形容動詞の活用形には、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5種類があります。以下のように、未然形は「〜う」に連なる形、連用形は「〜た」に連なる形のように、後ろに続く語が異なります。
未然形:〜うに連なる形
連用形:〜た、〜ない、〜なるに連なる形
終止形:言い切る形
連体形:〜ときなどの体言に連なる形
仮定形:〜ばに連なる形
これが形容動詞の「活用」です。受験などで、どうしても活用の形を暗記する必要がある方は、「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」と覚えた方もいらっしゃるかもしれませんね。形容動詞は、文章の中では語尾が変化している可能性があると覚えておきましょう。
活用の種類 | 活用 |
---|---|
未然形 | だろ |
連用形 | だっ、で、に |
終止形 | だ |
連体形 | な |
仮定形 | なら |
命令形 | - なし - |
形容動詞の活用には命令形がありません。
形容動詞の活用はこの1種類のみです。動詞の活用(五段活用、上一段活用など)のように複数の形があるわけではありません。
活用語尾とは、活用すると言い方が変形する部分のことを言います。「きれいだ」の場合、活用させても「きれい」という部分は変化しませんが、それ以外の部分は変化しています。変化しない部分(きれい)を語幹、変化する部分(だろ、だっ、で)を活用語尾といいます。
形容詞の活用にはいくつか例外があります。
「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」「同じだ」という形容動詞は、連体形がなく、体言などに連なる場合は語幹を用います。
- どんな服を買ったんですか。(「どんなだ」→「どんな」)
- 彼があんな人だとは思わなかったよ。(「あんなだ」→「あんな」)
- 同じ場所に行ってみたい(「同じだ」→「同じ」)
形容動詞と形容詞の違いがいまいちよくわからない、似ているので分かりにくいという方は多いのではないでしょうか。ここでは形容動詞・形容詞の違いや見分け方、簡単な覚え方を解説します。
まずは、形容動詞と形容詞の例文をご紹介します。
暖かな日。 【形容動詞】
暖かい日。 【形容詞】
どちらも「日」を修飾して詳しく説明しているように見えます。形容動詞と形容詞はどのようにして見分ければよいのでしょうか。
形容動詞と形容詞の簡単な見分け方は、形容動詞は言い切りの形が「〜だ」で終わり、形容詞は「〜い」で終わるということです。
上の例では、「暖かな日」は言い切りの形が「暖かだ」と、「だ」で終わっている形容動詞です。「暖かい日」は言い切りの形が「暖かい」と、「い」で終わっている形容詞です。
形容動詞と形容詞の違い
また、形容動詞も形容詞も活用があるという共通点があります。
活用の形に注目すると、形容動詞の活用は「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」、形容詞の活用は「かろ・かっ・く・い・い・けれ」となり活用の形が違います。
活用の種類 | 形容詞 | 形容動詞 |
---|---|---|
未然形 | 美しかろう | 綺麗だろう |
連用形 | 美しかった | 綺麗だった |
終止形 | 美しい | 綺麗だ |
連体形 | 美しいとき | 綺麗なとき |
仮定形 | 美しければ | 綺麗ならば |
命令形 | - なし - | - なし - |
文章の中で形容動詞や形容詞が使われる時には、形が変わっていることがあるので、品詞が判断しにくいと感じるかもしれません。
そんな時には、言い切りの形に直してみると分かりやすくなります。形容動詞は語尾が「〜な」の形になっているいることが多くあるので、「寒そうな格好」の場合は「寒そうだ。」のように終止形にすることで、品詞を判断することができます
次の文章の「きれいな」と「大きな」の違いはなんでしょうか。
きれいな箱がある。
彼は私に大きな影響を与えた。
一見、どちらも形容動詞のように見えます。しかし、正解は「きれいな」が形容動詞で、「大きな」は連体詞です。
形容動詞と連体詞はどのように見分ければよいのでしょうか。
形容動詞である「きれいな」は、「きれいだろう・きれいだった・きれいだ・きれいな・きれいなら」のように活用することができます。
それに対して、連体詞である「大きな」は活用することができません。無理に活用しようとすると「大きだ、大きだろう」となってしまいます。
形容動詞と連体詞の見分け方は活用できるかどうか
- 形容動詞は活用できる
- 連体詞は活用できない
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形容動詞について解説しました。ポイントは3つです。形容動詞の特徴を理解して、より分かりやすい文章の作成に取り組みましょう。
形容動詞とは
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