形容詞とは

形容詞は「おもしろい本」「白い紙」のように、性質や状態などの意味をくわしく説明します。自立語で活用がある用言で、言い切りの形が「い」で終わるという特徴があります。

もう少し詳しく説明すると、「おもしろい本だったよ」「難しい本だったよ」などの例では、形容詞を使うことで本の特徴を詳しく説明することができます。

このように本(名詞)がどんな様子かをあらわすのが形容詞です。

形容詞

「おもしろい、重い」などの形容詞が「本」という名詞をくわしく説明しています。

形容詞の一覧

形容詞の例の一覧としては、以下のようなものがあります。

美しい、優しい、賢い、虚しい、怖い、痛い、悲しい、美味しい、醜い、悔しい、可愛い、大きい、長い、若い、赤い、深い、遠い、暗い、薄い、古い、太い、新しい、明るい

次に、形容詞を使った例文を紹介します。

形容詞の例文

次の例文から、形容詞を抜き出して形容詞についての理解を深めましょう。

長野のりんごは甘い。毎年実家の母から送られてくるりんごを食べると、子供の頃の思い出がよみがえる。美味しいりんごは我が家で大人気だ。7歳になる娘も長野のりんごの大ファンである。

この文の中の形容詞は、
「甘い」「美味しい」の2つです。

この文章では、形容詞は名詞の直前にきて名詞を修飾しているので、簡単に見つけることができます。

形容詞の用法・修飾

形容詞の用法は、大きく3つです。

  • (1)名詞を修飾する
  • (2)主語の性質を言う
  • (3)動詞を修飾する

(名詞修飾)赤い靴
(主語の性質)私の顔が赤かった
(動詞修飾)速く走る

英語の形容詞の用法を覚えていると逆に混乱するのですが、英語の形容詞は名詞を修飾する用法のみです。そして英語の副詞が動詞を修飾すると学びます。しかし、日本語の形容詞は名詞も動詞も修飾します。そして日本語の副詞も動詞を修飾できるので、日本語では、動詞を修飾することができるのは形容詞と副詞ということになります。

(形容詞)速く走る
(副詞)ゆっくり走る

形容詞の活用・活用形

形容詞の活用形についても理解しておきましょう。

形容詞は、活用がある語です。
活用(かつよう)とは、語尾の形が変わることです。

例えば、「本(名詞)」や「すっかり(副詞)」などは語尾が変化することはありませんが、形容詞は語尾が色々な形に変わるのです。

例えば、「美しい」の語尾を変化させると次のようになります。

形容詞「美しい」の活用の例

未然形:美しかろ
連用形:美しかった、美しない
終止形:美し
連体形:美しとき
仮定形:美しけれ

形容詞の活用形には、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5種類があります。以下のように、未然形は「〜う」に連なる形、連用形は「〜た」に連なる形のように、後ろに続く語が異なります。

活用の形

未然形:〜うに連なる形(美しかろう)
連用形:〜た〜ない〜なるに連なる形(美しかった)
終止形:言い切る形 (美しい)
連体形:〜ときなどの体言に連なる形(美しいとき)
仮定形:〜ばに連なる形(美しければ)
命令形:- なし -

形容詞の活用で覚えておきたい「語幹・活用語尾」とは

形容詞の活用でよく耳にする言葉として語幹や活用語尾があります。語幹とは活用しても変化しない部分活用語尾とは活用すると言い方が変化する部分のことを言います。

例えば「美しい」の場合は、
語幹(活用させても変化しない部分):「美し」
活用語尾(活用すると言い方が変形する部分):かろ、かっ、くなど
となります。覚えておくと便利です。

形容詞の活用の覚え方(かろかっくいいけれ)

受験などで、どうしても形容詞の活用の形を暗記する必要がある方は、「かろかっくいいけれ」という覚え方をした方もいるかもしれませんね。

特に暗記する必要がない方は、形容詞は、文章の中では語尾が変化していることがある言葉だと覚えておきましょう。

形容詞の活用表

形容詞の活用を表にまとめると以下のようになります。

活用の種類 活用
未然形 かろ
連用形 かっ、く
終止形
連体形
仮定形 けれ
命令形 - なし -

形容詞の活用形は未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形の5種類のみで、命令形はありません。

形容詞の活用はこの1種類のみです。動詞の活用(五段活用、上一段活用など)のように複数の形があるわけではありません。

形容詞の用法(形容詞を使う位置・使い方)

次に、形容詞の用法について解説します。

形容詞は文の中で、主語・述語・修飾語・接続語の4つの使い方をすることができます。

それぞれの形容詞の使い方の特徴や位置について以下で紹介します。中でも重要なのは、形容詞は述語になることができるという点です。

形容詞の用法(1)述語になる

このマンションは駅から遠い

形容詞の用法(2)主語になる

美しさは罪だ。
* 主語になるときは、後に「の」「が」「は」「も」などの助詞を伴います。

形容詞の用法(3)修飾語になる

常に美しい文字を意識する。
* 単独で、また色々な付属語を伴って述語になります。

形容詞の用法(4)接続語になる

もし暗いなら、電気をつけようか。
* 接続助詞を伴って接続語になります。

このように、形容詞は文の様々な場所で使用することができると覚えておきましょう。

形容詞と形容動詞の違い・簡単な見分け方

形容詞と形容動詞の違いや見分け方がよくわからないという方は多いのではないでしょうか。

ここからは形容詞・形容動詞の違いや見分け方、簡単な覚え方を解説します。

形容詞と形容動詞の例

まずは、形容詞と形容動詞の例文をご紹介します。

暖かい日。 【形容詞】
暖かな日。 【形容動詞】

どちらも「日」を修飾して詳しく説明しているように見えます。形容詞と形容動詞はどのようにして見分ければよいのでしょうか。

形容詞と形容動詞の簡単な見分け方

形容詞と形容動詞の簡単な見分け方は、形容詞は言い切りの形が「〜い」で終わり、形容動詞は「〜だ」で終わるということです。

上の例では、「暖かい日」は言い切りの形が「暖か」と、「い」で終わっている形容詞です。「暖かな日」は言い切りの形が「暖か」と、「だ」で終わっている形容動詞です。

形容詞と形容動詞の違い

  • 形容詞は、言い切りの形が「い」で終わる
  • 形容動詞は、言い切りの形が「だ」で終わる

また、形容詞も形容動詞も活用があるという共通点があります。

活用の形に注目すると、形容詞の活用は「かろ・かっ・く・い・い・けれ」、形容動詞の活用は「だろ・だっ・で・に・だ・な・なら」となり活用の形が違います

形容詞 形容動詞 活用表

活用の種類 形容詞 形容動詞
未然形 美しかろ 綺麗だろ
連用形 美しかっ 綺麗だっ
終止形 美し 綺麗
連体形 美しとき 綺麗とき
仮定形 美しけれ 綺麗なら
命令形 - なし - - なし -

文章の中で形容詞や形容動詞が使われる時には、形が変わっていることがあるので、品詞が判断しにくいと感じるかもしれません。

そんな時には、言い切りの形に直してみると分かりやすくなります。形容動詞は語尾が「〜な」の形になっているいることが多くあるので、「寒そうな格好」の場合は「寒そうだ。」のように終止形にすることで、品詞を判断することができます

形容詞と形容動詞の区別がつきにくい当たり前?

それでも形容詞と形容動詞の違いが分かりにくいと感じられるかもしれません。
それも当然かと思います。例えば英語には形容動詞というものはありません。
また外国人が日本語を習う場合も形容動詞という概念は学びません。日本語の形容詞はイ形容詞。日本語の形容動詞はナ形容詞として、ともに形容詞として学びます。つまり性質が同じなのです。

形容詞の特殊な用法(補助形容詞)

形容詞の中には、特殊で見分けにくい補助形容詞(形式形容詞)というものがあります

補助形容詞の種類は、「ない」「よい (いい)」「ほしい」の3つが主なものです。

補助形容詞は、もとの意味が薄れ、補助的な役割に使われているため、見分けがつかないことがありますので、この3つは覚えておきましょう。

  • 補助形容詞 「ない」の例: 悪く(は)ない、面白く(も)ない
  • 補助形容詞 「よい(いい)」の例: 帰って(も)よい、つまらなくて(も)よい
  • 補助形容詞「ほしい」の例: 帰ってほしい、教えてほしい

補助形容詞の見分け方は、直前に、「く」「で」「て」「は」「も」などがあるかどうかがポイントです。

補助形容詞の見つけ方
- 直前に、「く」「で」「て」「は」「も」などがあるかどうか

補助形容詞「ない」の見分け方

補助形容詞「ない」は、他の補助形容詞よりも見分けるのが難しい語です。その理由として、「ない」は補助形容詞以外にも、助動詞や、本来の意味での形容詞、形容詞の一部など、多くの語で使われているので、見分けるのが難しいためです。以下の例で補助形容詞「ない」は、読んでない、相手でない、悪くないの3つです。

補助形容詞はどれか

  • 私はその本を読んでない。→「ない」は補助形容詞
  • 私はその本を読まない。→「ない」は助動詞
  • カバンに入れたはずの辞書がない。→「ない」は本来の意味の形容詞
  • 片付けをしていないので部屋がきたない。→「ない」は形容詞きたないの一部
  • 欲しいものは、全ては手に入らないものだ。→「ない」は助動詞
  • 花は水をやらないと育たない。→「ない」は助動詞
  • 彼が運命の相手でないことは確かだ。→「ない」は補助形容詞
  • 彼女のフォームは悪くない。→「ない」は補助形容詞
  • 少しの迷いもない。 →「ない」は本来の意味の形容詞

【よくある形容詞の間違い】形容詞と連体詞の間違い

よくある形容詞の間違いとして、形容詞と連体詞を混在してしまう誤りがあります。例えば、「大きい」と「大きな」よく似ていますが、日本語の文法では、「大きい」は形容詞で、「大きな」は連体詞です。「大きい」が形容詞で、「大きな」は形容動詞だと勘違いしてしまう場合がありますが誤りです。

実際に、web国語辞典で「大きな」と「大きい」を調べてみると以下のような例文が記載されています。

・大きい
 大きい箱
 大きい事件
 体の大きい人

・大きな
 大きな格差
 大きな計画
 問題の大きなとらえ方
 大きな原因

「大きな」と「大きい」の違いとして、「大きな」は目に見えない心で感じる抽象的な語と一緒に使い、「大きい」は具体的な語と使う傾向があります。この違いは微妙で難しく、なかなか母国語が日本語でない人に説明するのは難しいかもしれません。たった1文字の違いですが、文章中ではどちらを使うかによってニュアンスが変わってきます。例えば「大きなのっぽの古時計」と「大きいのっぽの古時計」では、「な」と「い」のいずれを使うかによって、感じ方が変わってきませんか。「大きな」のほうが、具体的に目の前にある古時計というよりも、記憶の中の懐かしい感じがする大きくて立派な古時計という印象を受けるのではないかと思います。

形容詞の語順

2つ以上形容詞が連続する場合は、「種類」「主観的評価」「属性」の順に並べます。形容詞の語順を意識して組み立てると、読みやすい文章を書くことができます。

多くの(種類)素晴らしく(評価)赤い(属性)旗

赤い(属性)多くの(種類)素晴らしい(評価)旗

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形容詞は性質や状態を表す品詞

形容詞について解説しました。ポイントは3つです。形容詞のはたらきを理解することで、より分かりやすい文章の作成に取り組みましょう。

まとめ

  • 言い切りの形が「い」
  • 性質や状態を表す
  • 活用の形が「かろ・かっ・く・う・い・い・けれ」