連体詞とは

連体詞は、体言(名詞)を修飾して意味をくわしく説明する語です。自立語で活用がなく、主に連体修飾語になります。

たとえば、「あの山をみてください」「大きな山」のように、連体詞を使って「山」という名詞をくわしく説明することができます。

連体詞の例文

日本語の連体詞は、すぐ下の語を修飾(くわしく説明)します。

この雑誌
あらゆる角度から検証する
大きな古時計
わが
たいした男だ

連体詞「この」が雑誌を修飾し、連体詞「あらゆる」が角度を修飾する、といったように、連体詞はすぐ下の後を修飾しています。

連体詞の一覧

次に、連体詞の一覧例を紹介します。

この、その、あの、どの、わが、大きな、小さな、おかしな、いろんな、たいした、とんだ、ある、あらゆる、いわゆる、きたる

後ろにどんな言葉がくるかイメージしながら連体詞の一覧を確認してみましょう。

次は、連体詞の具体的な覚え方や見分け方について解説します。

連体詞の覚え方(連体詞の種類)

連体詞は、5つに分類することができます。覚え方としては、「た・だ・の・る・な」で終わる言葉は連体詞と覚えた方もいらっしゃるかもしれませんね。

連体詞は、名詞を修飾する、活用がない語と覚えておきましょう

連体詞には「〜の」がつく語や、「〜な」がつく語があります。分類することで特徴がつかみやすくなるので、覚えておくとよいでしょう。

連体詞の種類
「〜の」型 この、その、あの、どの
「〜が」型 わが
「〜な」型 大きな、小さな、おかしな、いろんな
「〜た(だ)」型 たいした、とんだ
「〜る」型 ある、あらゆる、いわゆる、きたる

連体詞と形容詞の違い

まぎらわしい連体詞「大きな」

「大きい」「大きな」については、非常にまぎらわしいため、注意が必要です。

大きいコップがある。
彼は私に大きな影響を与えた。

大きいと大きなは何が違うのでしょうか。

文法では、「大きい」は形容詞で、「大きな」は連体詞ですというのが答えになります。

見分け方としては、「大きい」は、大きく書きます・大きかったらのように活用します

活用は、形が変わることです。動詞とセットにしたり文末で使うことができます。

それに対して「大きな」は、後ろに名詞がくるときにしか使用することができず活用できないので、形容詞ではなく連体詞ということになります。

高校受験の国文法では、「大きな」は「かろ・かっ・く・い・い・けれ」の、どの活用にもあてはまらないので、形容詞ではなく連体詞です。連体詞は、10個くらいしかないので、暗記しましょう。と教わります。
「大きい」も「大きな」も使い方は一緒な感じがするのに、品詞が違うのでわかりにくい。
そう感じる方のために、実際に私たちが「大きい」と「大きな」をどどのように使い分けているのか、イメージの違いを補足します。

実際に、web国語辞典で「大きな」と「大きい」を調べてみると以下のような例文が記載されています。

・大きい
 大きい箱
 大きい事件
 体の大きい人

・大きな
 大きな格差
 大きな計画
 問題の大きなとらえ方
 大きな原因

実は「大きな」は目に見えない心で感じる抽象的な語と一緒に使い、「大きい」は具体的な語と使う傾向があります。

この違いは微妙で難しく、なかなか母国語が日本語でない人に説明するのは難しいかもしれません。

たった1文字の違いですが、文章中ではどちらを使うかによってニュアンスが変わってきます。

例えば、

大きなのっぽの古時計
大きいのっぽの古時計

「な」と「い」のいずれを使うかによって、感じ方が変わってきませんか。
「大きな」のほうが、具体的に目の前にある古時計というよりも、記憶の中の懐かしい感じがする大きくて立派な古時計という印象を受けるのではないでしょうか。

よく考えると、なかなかレベルが高い違いだなと感じます。

連体詞と形容動詞の違い

連体詞と形容動詞がよくわからなくなってしまうという方のために、違いを解説します。

連体詞は名詞を修飾する語です。連体詞のあとには必ず名詞がきます。また、活用がないため、形は変わりません。

それに対して形容動詞は、活用がある語です。

活用がある形容動詞に対して、連体詞は活用がないというのが一番の違いになります。

品詞 連体詞 形容動詞
特徴 名詞を修飾する 述語になる
性質 意味をくわしくする 性質・状態をあらわす
活用 ない ある
自立語 自立語 自立語
  • 連体詞の例: 大きな、あらゆる、この、その、たいした
  • 形容詞の例: 大きい、美しい、広い、おもしろい、かわいい

連体詞と副詞の違い

連体詞と副詞の違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

連体詞と副詞の違いを解説します。

連体詞は、名詞を修飾して意味をくわしくします。
それに対して副詞は、用言(動詞、形容詞、形容動詞)を修飾して意味をくわしくします。

品詞 連体詞 副詞
特徴 名詞を修飾する 用言を修飾する
性質 意味をくわしくする 意味をくわしくする
活用 ない ない
自立語 自立語 自立語

どちらも、修飾した語の意味をくわしくするという点では共通していますが、連体詞は名詞を修飾し、副詞は用言を修飾する、というのが違いです。

  • 連体詞の例: 大きな、あらゆる、この、その、たいした
  • 副詞の例: 決して、かなり、とても、まさか、どうして

まぎらわしい連体詞「ある」

「ある」はほかの品詞と似ているため、非常に見分けがつきにくい連体詞です。

ある週末の出来事だった。【連体詞】
週末に野球の試合がある。【動詞】

ある週末は、「ある」が名詞である「週末」を修飾している連体詞です。それに対して、試合が「ある」は主語についての動作・作用をあらわす動詞です。

見分けにくいため、注意が必要です。

連体詞は英語にもあるのか

連体詞は日本独自の品詞のため、英語には同じものはありません。形容詞的なものという位置付けで説明されることが多いです。

まとめ

連体詞について解説しました。ポイントは3つです。

連体詞とは

  • 名詞を修飾する
  • 修飾した名詞をくわしく説明する
  • 活用しない

品詞を1つ1つ覚えていくのは暗記しないといけないこともあり、骨が折れるかと思います。しかし、正しい日本語を覚えることで、相手に誤解を与えることが少なくなり、言いたいことがスムーズ伝わります。間違った文章を指摘することもできるようになるので、少しずつ覚えていきましょう。