この記事の目次
国語での助動詞とは何か、活用表をはじめ、助動詞の種類や一覧、意味について例文を交えて解説します。助動詞がわからないという方のために、助動詞の覚え方や見分け方ついても紹介します。基本的な文法である「れる」「られる」など間違えやすい助動詞についても紹介します。
wordrabbit team
この記事の目次
助動詞とは、用言・体言などに付属して意味をそえる働きがある語で、大きな述語のまとまりをつくる言葉です。付属語で活用があるという特徴があります。たとえば「走ります」の「〜ます」が助動詞です。
「れる」「られる」「せる」「させる」「ない」「そうだ」「らしい」「です」などが代表的な助動詞です。いずれも付属語のため、一語では意味は通じず、自立語である用言・体言のあとにくっつくことで役割を果たします。
助動詞は、活用がある語です。活用(かつよう)とは、語尾の形が変わることです。活用がない助詞とは違って語尾の形が変化します。
「本(名詞) 」や「すっかり(副詞) 」などは語尾が変化することはありませんが、助動詞は語尾が色々な形に変わるのです。
たとえば、助動詞「させる」の語尾を変化させると以下のようになります。
助動詞の活用
未然形:させない
連用形:させた
終止形:させる
連体形:させるとき
仮定形:させれば
命令形:させろ・させよ
助動詞の活用形には、未然形・連用形・終止形・連体形・仮定形・命令形の6種類があります。以下のように、未然形は「〜う」に連なる形、連用形は「〜た」に連なる形のように、後ろに続く語が異なります。
助動詞の活用の形
未然形:〜ないに連なる形(させない)
連用形:〜た〜ますに連なる形(させた)
終止形:言い切る形(させる)
連体形:〜とき(させるとき)
仮定形:〜ばに連なる形(させれば)
命令形:命令する形(させろ、させよ)
このように、助動詞は活用があるので語尾の形が変わっていることがあります。
次に、助動詞の例文を紹介します。
「ない(打ち消し) 」「られる(可能)」「せる(使役) 」の助動詞が、前の語に付属して意味をつけ加えています。
日本語の助動詞の種類は、意味で分類すると「受け身・可能・自発・尊敬・使役・丁寧・希望・打ち消し・断定・過去・完了・推量・意思・たとえ・例示・推定・伝聞・様態」などにわけることができます。
助動詞は、非常に多くの意味を持つという特徴があります。
多くの意味を持つ助動詞ですが、助動詞を意味によって分けると、以下のような表になります。
助動詞の意味による分類表
分類 | 助動詞 |
---|---|
受け身・可能・自発・尊敬 | れる・られる |
使役 | せる・させる |
打ち消し | ない・ぬ |
推量・意思 | う・よう |
打ち消しの推量・打ち消しの意思 | まい |
希望 | たい・たがる |
丁寧 | ます |
過去・完了・存続・確認 | た・だ |
様態・伝聞 | そうだ・そうです |
たとえ・推定・例示 | ようだ・ようです |
推定 | らしい |
断定 | だ |
丁寧な断定 | です |
助動詞の「れる」「られる」は、文脈によって、受け身・尊敬・自発・可能の4つの意味の場合があります。
受け身は、他から動作を受けることを意味します。前に「〜に」がくることが多くあります。
尊敬は、相手の動作を敬うことを意味します。
自発は、意識しなくても自然とそうなることを意味します。特に、思うや感じるという気持ちをあらわす言葉の時に自発の意味になるケースが多くあります。
可能は、できることを意味します。(英語ではcanにあたります。)可能の意味の時には「〜できる」に置き換えることができます。
助動詞「れる」「られる」は次のように活用します。
活用の種類 | れる | られる |
---|---|---|
未然形 | れ | られ |
連用形 | れ | られ |
終止形 | れる | られる |
連体形 | れる | られる |
仮定形 | れれ | られれ |
命令形 | れろ、れよ | られろ、られよ |
助動詞の「う」「よう」は、文脈によって、推量・意思・勧誘の3つの意味の場合があります。
推量は、話し手が「〜だろう」と予想・想像していることを意味します。主語が三人称(もの・ことなど私でもあなたでもない時) の時には推量の意味で用いられることが多くなります。
例文では、辛いだろう、雨が止んでもよいだろう、と話し手が想像している様子をあらわしています。
意志は、「〜するぞ」「〜するつもりだ」という強い気持ちを意味します。主語が一人称(私・僕)の時には意志の意味で用いられることが多くなります。
例文では、明日は休むぞ、本をたくさん読むぞという様子をあらわしています。
勧誘は「一緒に〜しよう」という気持ちを意味しています。主語が二人称(君・あなた)の時には勧誘の意味で用いられることが多くなります。
例文では、一緒に歌おう、一緒に描こうという様子をあらわしています。
助動詞「う」「よう」の活用は以下のようになります
活用の種類 | う | よう |
---|---|---|
未然形 | - | - |
連用形 | - | - |
終止形 | う | よう |
連体形 | (う) | (よう) |
仮定形 | - | - |
命令形 | - | - |
助動詞の「まい」は、文脈によって、否定の推量・否定の意志の2つの意味の場合があります。
否定の推量は、「〜しないだろう」と予想・想像していることを意味します。主語が三人称の時には否定の推量で用いられることが多くなります。
例文では、降らないだろう、大したことがないだろうと予想している様子をあらわしています。
否定の意志は、「〜しないぞ」という否定の意志を意味しています。主語が一人称(私)の時には否定の意志で用いられることが多くなります。また、「〜するつもりはない」に置き換えられる場合は否定の意志の意味で使われている場合が多くなります。
例文では、休まないぞ、繰り返さないぞという強い気持ちをあらあわしています。
助動詞「まい」の活用表は以下のようになります。
活用の種類 | まい |
---|---|
未然形 | - |
連用形 | - |
終止形 | まい |
連体形 | (まい) |
仮定形 | - |
命令形 | - |
助動詞の「ます」は、丁寧の意味があります。
丁寧を意味しています。
助動詞「ます」は次のように活用します。
活用の種類 | ます |
---|---|
未然形 | ませ(ましょ) |
連用形 | まし |
終止形 | ます |
連体形 | ます |
仮定形 | ますれ |
命令形 | ませ(まし) |
助動詞の「そうだ」は、推定・様態・伝聞の意味があります。
「〜という様子が見て取れる」という、自分で見て予想していることを意味しています。
例文では、自分で見て雨が降るという様子が見て取れる、自分で見て甘い様子が見て取れる、という様子をあらわしています。
2. 伝聞の意味
「〜と人から聞いた」「人が〜と言っていた」ということを意味しています。前が終止形(言い切りの形)の語についている「そうだ」は、伝聞の意味になります。
例文では、雨が降ると人が言っていた、長野県はりんごの生産量が日本で二番目に多いと人が言っていた、という様子をあらわしています。
助動詞「そうだ」は次のように活用します。
活用の種類 | そうだ |
---|---|
未然形 | そうだろ |
連用形 | そうだっ、そうで、そうに |
終止形 | そうだ |
連体形 | そうな |
仮定形 | そうな |
命令形 | そうなら |
助動詞の「せる」「させる」は、使役の意味があります。
「人に動作をやらせる」ということを意味しています。
例文では、遊ぶことを人にやらせる、来ることを人にやらせることをあらわしています。
助動詞「せる」「させる」は次のように活用します。
活用の種類 | せる | させる |
---|---|---|
未然形 | せ | させ |
連用形 | せ | させ |
終止形 | せる | させる |
連体形 | せる | させる |
仮定形 | せれ | させれ |
命令形 | せよ、せろ | させよ、させろ |
助動詞の「ない」「ぬ(ん)」は、打ち消しの意味があります。
前の語を打ち消す意味で用いられます。動詞や助動詞の未然形の後ろについて意味を加えます。
例文では、行くことはしない、賛同することはしない、という意味をあらわしています。
助動詞「ない」「ぬ(ん)」は次のように活用します。
活用の種類 | ない | ぬ(ん) |
---|---|---|
未然形 | なかろ | - |
連用形 | なかっ、なく | ず |
終止形 | ない | ぬ(ん) |
連体形 | ない | ぬ(ん) |
仮定形 | なけれ | ね |
命令形 | - | - |
助動詞の「たい」「たがる」には、希望の意味があります。
前の語について希望を意味します。動詞と助動詞の連用形のうしろについて意味を加えます。
例文では、行くことを希望する、食べることを希望するという意味をあらわしています。
助動詞の「たい」「たがる」は次のように活用します。
活用の種類 | たい | たがる |
---|---|---|
未然形 | たかろ | たがら、たがろ |
連用形 | たかっ、たく | たがり、たがっ |
終止形 | たい | たがる |
連体形 | たい | たがる |
仮定形 | たけれ | たがれ |
命令形 | - | - |
助動詞の「た」は、過去・完了・存続・確認(想起)の意味があります。
前の語について過去を意味します。
前の語について完了したことを意味します。
例文では、仕事が完了した、準備が完了したという意味をあらわしています。
前の語について存続していることを意味します。存続の意味の場合は「〜してある」と言い換えられます。
例文では、高くそびえている塀という存続の意味をあらわしています。
前の語について確認していることを意味します。その事実をそうだったと確認し、思い出している時に用います。
例文では、同僚の誕生日だ、休暇の予定だということを思い出している意味をあらわしています。
助動詞「た」は次のように活用します。
活用の種類 | た |
---|---|
未然形 | たろ(だろ) |
連用形 | - |
終止形 | た(だ) |
連体形 | た(だ) |
仮定形 | たら(だら) |
命令形 | - |
日本語の文法のルールは多くあるため、すべての文法を理解するのは大変です。しかし、ビジネス文書や論文を書く方や、日本語を学習する方にとって、正しい文法で文章を書くことは重要な要素です。
そこでおすすめなのが、高精度の文章校正ツール「wordrabbit(ワードラビット)」です。wordrabbitを使えば、大量の文章でも、入力するだけで文法の誤りが修正されます。
例えば以下のような文章を入力すると、助詞の間違いを瞬時に修正することができます。
文章を入力するだけで修正候補やその理由が提示されるため、ビジネス文書や、対外的な記事、プレスリリース、プロダクトの文章など、分かりやすい日本語が求められるシーンで、手間をかけずにリーダブルな文章を作成することができます。2週間無料でお試しできるため、「より多くの人にとって読みやすい文章を書きたい」という方はぜひお試しください。
助動詞について解説しました。ポイントは3つです。助動詞のはたらきを理解して、より分かりやすい文章の作成に取り組みましょう。
助動詞とは
日本語文法の基礎を分かりやすく丁寧に解説します。文法に関する知識は文章力や読解力の入り口です。専門書の内容をもとに、これだけは知っておきたい国語のベーシックな知識を集め、より理解しやすい言葉でご紹介します。多くの方に読まれ続けているこの『日本語文法』をレベルアップや文法の振り返りにお役立てください。